信じて、待ってみる

 令和3年がスタートして、早いもので1か月が終わりました。まもなく暖かい日が差し、桜の咲く季節がやってきますね。そのころには、子ども達は進学・進級を迎えます。
「1学年上がる」ということは、子どもにとっても、私たち大人(保護者)にとっても大きな節目でもあり、不安の出てくる時期でもあります。

「うちの子、上のクラスでやっていけるかな」
「小学校でうまくやれるかな」
「新しい友達できるかな」
「泣かずに行くことができるかな」

楽しみでもあり、いろいろな不安と緊張がありますね。

 さて、ここでお子さんの生まれたばかりのころを思い返してみましょう。

Ⓒ2021ジャパクリップ

 お母さんのおなかの中という守られた温かい環境から、外の世界へ出てきました。

 しゃべることもできなければ、自分でご飯を食べることもできません。(おっぱいやミルクを大人が準備しなければいけませんね)

 きっと、「この世界はどんなところかな」「大丈夫かな」楽しみと不安、緊張でいっぱいです。

 「何もできない」と思われている赤ちゃんですが、そこから・・・

おっぱいの吸い方を教えたわけではないけれど、おっぱいを近づけると口を開けてふくみ、舌を使って飲もうとします。
立ち方を教えたわけではないけれど、ある日つかまり立ちから一人で立てるようになりました。
歩き方を教えたわけではないけれど、自分で1歩踏み出せた。

 こんな風に「練習しなさい」「頑張りなさい」「早くしないとみんなにおいて行かれるよ」「ここの筋肉とここの筋肉を使って、こういう風に足を出すと歩けるんだよ!」そんな言葉をかけなくても、毎日少しずつ練習して自分で動きを獲得してきた子どもたち。これはどんなお子さんであっても同じです。
それぞれのお子さんで成長の仕方や、伸びているところ、好きなことなどは違いますが、間違いなく、生まれたころの姿より成長しているはずです。 

教えたわけではないのに」どうしてできるようになったのでしょう。どうして成長したのでしょう。これは子どもに元々ある力「自己教育力」と呼ばれる力があるからなのです。

そっと拭いてあげるね

靴も自分で履けるように

文字の習得中

おっぱいの吸い方が分かっているのも、実はおなかの中で自分の指をしゃぶって舌の動きの練習をたくさんたくさんしているから。
一人で立てるようになるのも、実は寝返りやハイハイで立つために必要な動きの練習をたくさんしているから。
歩けるようになるのも、実は立って屈伸したり、転んでも大丈夫なように尻もちをつく練習をたくさんしてるから。
(上記の内容だけができるようになる理由ではありませんが)

「今」自分に必要な育ちを分かって、その育ちを実現するために日々練習をする子ども達の姿は「自己教育力」が存分に発揮されている時と言えます。

この「自分で自分を育てる」途中の子ども達を、ぜひ心配しながらも見守ってあげてほしいのです。
「大丈夫、出来ないときは教えてね。できないところを少し手伝ってあげるよ」こういう気持ちでいてもらえるだけで、子ども達は自分の伸びたい方向へ、自分自身を成長させながら進んでいけるのです。

信じて、待ってみる。

今、小さな1つの花が咲こうとしています。
摘み取らないで、栄養をあげすぎないで、じっくり待ってみましょうか。