子どもと環境をつなぐ

初めて保育の様子を見る方の中には

「先生たちが見守っているだけ」

そう感じる方もいらっしゃるかもしれません。

自分の選んだことがゆったり、やりたいだけできる時間になるためには、大人が「子どもと環境をつなぐ」役割を担っていなければなりません。

「新しい活動の紹介」⇒こうやって使うよ

「難しいポイントの再提示」⇒こうやってするといいよ

これらを子どもに行うためには、一人ひとりの子どもが

「何に興味があって」「何をしたくて」「どこで困っているのかな」「どこを伝えたらできるようになるかな」と様々な点を見極め関わる必要があるため、子どもを観察しながら毎日の活動を行っています。

そして、子どもが「自己教育力」を発揮することができるよう、出来るだけ邪魔をせず、活動中の子どもを援助します。

子どもの集中力は切れやすいので、大人は注意を払います。

子どもは何もできない存在ではありません。

自分で育つ力をみんな持っています。

「あ~しなさい」「こうしなさい」

大人が指示して子どもが動く時間は少ない方がいいのです。

毎日、毎日「自分で考え」「自分でやってみる」いろいろな積み重ねができる園生活を送ることができるように。

0歳のクラスからそうした環境を準備して、毎日子ども達を待っています。

令和7年度 1号認定募集のお知らせ 

令和7年度に3歳児、1号認定で入所希望の方を若干名募集いたします。

入園案内
⇧詳しくはこちら

ぜひ、園見学にお越しください。お待ちしております。

⇒1号認定は定員に達しましたので締め切りました。今後の1号認定の空き情報は「入園案内」で随時お知らせいたします。(12月3日追記)

「ひとりでできるように手伝う」準備

モンテッソーリ教育は子どもの「私・僕がひとりでできるように手伝ってね」という子どもの心の叫びに答えて、発達段階に合わせて援助する教育法です。

「ひとりでできるように手伝う」には、その周りにいる「大人」が「手伝う準備」をしておく必要があります。

例えば、ひとりで食事をするようになる前段階、
【手づかみ食べ】は大人の都合で(床や洋服、顔について汚れるから等の理由で)いつまでも食べさせてあげていると…

子どもの「自分で食べるようになりたい」という気持ちが出てきたタイミングで「どうやって食べればいいんだ?」と分からず、「ん~!」と口に入れてくれるのを待つことになります。

【コップ飲み】も同様に、大人が飲ませてあげていたら…または、こぼしてほしくない等の理由でずっとマグやストローを使って飲んでいたら

「自分で飲みたい」という気持ちと育ちが出てきた段階で「どうやってもって飲めばいいんだ?」と分からず、「ん~!」と口に入れてくれるのを待つしかありません。また、いざコップで飲む時にコップの扱い方(傾け加減や出てくる量の調整)が分からず、こぼしながら飲むという事は避けられません。

【洋服を着る】【オムツを履く】【靴を履く】逆もしかり。
【洋服を脱ぐ】【オムツを脱ぐ】【靴を脱ぐ】子どもの育ちに合わせてポイントは変化してきます。

では、これらのことがひとりでできるように手伝うには…
先ほども書いたように「大人が手伝う準備」をしておく必要があります。

【手づかみ食べ】で子どもや床、椅子が汚れるのは面倒で大変だと感じられる方におススメの提供の仕方をご紹介します。

全ての食事を子どもがどう食べてもいいように出すのではなく
手づかみできそうな形状の食材を3つくらい小皿に別で提供します。

小皿の中の物は子どもが触っても、落としてしまっても大人も扱いやすく、【手づかみ食べ】の経験のハードルを下げてくれます。
このお皿の中の物は「食べるものなんだ」と子どもが理解していくと、次の段階としてお皿の中の食材の数を増やしたり、形状を小さいものにしていくようなことができます。

そして、それを子どもが自ら手を伸ばして口に運ぶ「楽しさ・嬉しさ・満足感」がひとりで食べられるようになる土台として育まれていくのです。

ご紹介した
《小皿》
《子どもが扱いやすい形状の食材》
《子どもが把握しやすい食材の数》
《好きに食べてもいいよ・大丈夫よという大人の態度》
これらが、「ひとりでできるように手伝う準備をする」という事です。

つまり、「子どもが食べやすいように小皿に食材を乗せる」この小さなお手伝いが子ども達は嬉しいのです。

「食べさせてあげる」ことは時に子どもの育ちを阻害するお手伝いになってしまいます。

このように、当園では「子どもがひとりでできるようになるお手伝い」の準備をして子ども達の成長を見守っています。
ぜひ、子育てでどう子どもに寄り添ったらよいか、分からない、方法が知りたいときには職員にお気軽にお声掛けください。

大人も子どももより心地よい毎日に近づくよう、保護者や地域で子育てされている方の力になれたらと考えています。

行事への心持ち

運動会、発表会、参観日…保護者の方にとっては、特にお子さんの成長を感じられる大事な日です。
この日があることで子どもと成長を共有し、一緒に喜んで、また明日から頑張れる糧になる。
園も大事にしている日です。

その一方で、行事での「出来栄え」は園の評価につながることも間違いありません。
(大人が思う)すごい内容を見せることで、「よく教育してくれている」という評価につながることは間違いないでしょう。
園としてはもちろん、いい評価はありがたいです。

しかし、いい評価をもらう為に、子ども達に必要のない練習や気持ちの混乱・不安を課してしまうこともあります。

ですから、園の評価の前に「今、子ども達にとって何が必要で、何を援助することが大事なのか」考える必要があるのです。

この先一人の大人として社会に出ていく時、この時期の子ども達の生活1日1日が土台となって生きていくはずです。
『一人の「個」としての土台が形成される』と言われている乳幼児期に必要なことは、
「今素晴らしいものを見せるために頑張る毎日」ではなく
「自分を育てる為に、自分がやりたい事がやりたいだけできる毎日」だと考えています。

当園ではモンテッソーリ教育の「お仕事」を基盤とした日常の中で、行事に向けては子ども達が楽しんでできる練習と内容としています。

ですから、「しっかり、厳しく、華やかな行事を重視」していらっしゃる保護者の方には物足りなさを感じる内容だと思います。

園はそこを承知した上で、「子ども達一人ひとりが幸せな大人になる」為の土台づくりが重要であり、それはモンテッソーリ教育を通じて成すことができると考えています。

行事の成果は分かりやすく、毎日の成果は分かりにくいかもしれません。

しかし、私たちは目の前の成果を求めて子どもと関わっているのではありません。
1日1日子ども達の中に種をまき、10年後・20年後その種が1つ2つ…と花を咲かせる。その姿を想像しながら関わっています。


この乳幼児期に子ども達が求める環境を準備し、適切に提供していけるよう、
これからも子ども達の姿に学んでいきます。

0~6歳の土台作り

当園ではモンテッソーリ教育を保育の柱として取り入れています。
モンテッソーリ教育の中には「言語・算数・文化」といった分野の活動があります。
子ども達は、特に3~6歳の子ども達は「言語・算数・文化」という分野に夢中になって取り組みます。

活動の中(算数)には…
「1・10・100・1000の紹介」(4桁の数字を扱います)
「足し算」
「掛け算」
「引き算」
「割り算」
といった、内容が含まれています。

「小学校で習う」ような内容にびっくりされる方も少なくありません。
しかし、これはあくまでも「子どもの興味、敏感期」に合わせて行うもので、「強制的に」「大人の都合で」行うものでは決してありません。

結果として「足し算」や「引き算」の意味が分かるようになるのですが、この時期の子ども達が早く計算ができるようになるために活動が準備されているのではありません。

では、なぜこのような教具が準備されているのでしょうか。

それは、この「小学校で習う」ような活動を通して子ども達に「思考の土台」が育つためなのです。
活動を通して、物の考え方(整理の仕方・道筋の立て方・知ることの楽しさ・自ら学んでいく喜びなど)の土台を培っていくのです。

0~6歳は、まず「自分」を作る「個」を形成する時期です。
「知識」を詰め込むのではなく、まずは「自分」という土台を形成するお手伝いを子ども達との「お仕事」を通して、していきたいと考えています。

「美しいものを美しいと感じる感覚、新しいものや未知なものにふれたときの感激、思いやり、憐れみ、讃嘆や愛情などのさまざまな形の愛情がひとたびよびさまされると、次はその対象となるものについてもっと知りたいと思うようになります。そのようにして見つけ出した知識は、しっかりと身につきます。
 消化する能力がまだそなわっていない子どもに、事実のみをうのみにさせるよりも、むしろ子どもが知りたがるような道を切りひらいてやることのほうがどんなにたいせつであるかわかりません。
レイチェル・カーソン著/上遠恵子訳/「センスオブワンダー」/新潮社/1996pp24~26より抜粋